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つばきファクトリー「今夜だけ浮かれたかった」の歌詞について

切なく激しい一曲

今回は2018年7月18日に発売された、つばきファクトリーのトリプルA面シングルの中の1曲、「今夜だけ浮かれたかった」についてです。

つばきファクトリー「今夜だけ浮かれたかった」

この曲、本当に良い曲ですよね。

(すごく好きで、感想を書きたい! と思っていたのですが、気づいたら結構日にちが経ってしまっていました……)

Youtubeの「ハロステ」でMVの前半だけ公開されたときは、ちょっとボカロっぽい? というか、若手の作家さんの可愛らしい感じの作品なのかなと一瞬思ったのですが……

フルで公開されたMVを見るとイメージがかなり変わって、後半に行くにつれてどんどん盛り上がっていき、切なさと激しさの増していく歌詞と曲調にガツンとやられてしまいました。笑

よく見ると、作曲が中島卓偉さん、作詞が児玉雨子さんではありませんか!

最近ハロプロの曲をたくさん手がけていて、名曲を生み出しまくっているお二人。

児玉雨子さんは私より年下の方ですが、絶妙な女子感のある歌詞を書かれる方で、いつも「すごい!」って思わされるんですよね。

この「今夜だけ浮かれたかった」も歌詞が素敵なので、それについて少し触れてみたいと思います。

 

可愛くていやらしい歌詞が良い!

つばきファクトリー 今夜だけ浮かれたかった 歌詞 - 歌ネット

そもそもこの曲は、何について歌っているのでしょう。

場面は恐らくお祭りか花火大会ですよね。

では気持ち的な部分ではどうなのか。

色々な考え方があると思うのですが、私はやっぱりこう感じました。

好きな人と一線を越えたいと思っている女子の心情だ、と。

「好きな人に告白したいのにできない、いじらしい女子の曲」という解釈もできると思いますし、むしろそっちのほうが女性アイドルの曲としては良いのでは、とも思うのですが(笑)、どうしても歌詞の節々にちょっとした生々しさを感じるんですよね。

例えば、こんな部分。

今夜だけ浮かれたかった 真面目心がじゃまをした

今夜だけ浮かれたかった 口を滑らすはずだった

「口を滑らす」には、「言ってはいけないことをうっかり言ってしまう」という意味があります。

主人公が好きな人に伝えたかった内容は、不真面目なことであり、言ってはいけないこと。

そういう後ろめたさみたいなものを自分で持っているんですよね。

もし普通に好きな人に告白するだけなら、こんな風には感じないんじゃないかな、という気がするんです。

また、

誰にでも話せるような 思い出作りはしたくない

という部分からも、周りの人には言いづらい内容であることがうかがえます。

 

ただ、ここまでだとまだ「一線を越えたい」という風には見えません。

もしかしたら友達の彼氏とか、好きになってはいけない人を好きになってしまって、その人に気持ちを伝えたいと思っているのかもしれません。

ところが、後半で一気に大人っぽさが出てきます。

今夜だけわがまま言えば あなたと見つめ合いたいよ

今夜だけわがまま言えば 星空を見なくて済んだ

これはまさに、一緒に朝まで過ごしたいということなのでは?

花火が上がる空を見終わって、そのまま室内へ……ということなのでは? と考えさせられます。

さらに、激しく歌い上げるCメロ部分。

浴衣を着なかった理由

まぶたを刺す髪の毛

どうしたら輝けるの? 泣きたいわ

気づいてくれなきゃ いや、いや…

この部分も、一度脱いでしまったら自分では着られないから、浴衣では来なかったのだと想像させられます。

「まぶたを刺す髪の毛」は、髪の毛もアップにせず、前髪もそのまま下ろしてきたことを表しているのかなと感じました。

(これに関しては、「気合を入れて前髪をセットしてきたのでは」「前髪を切ってきたのでは」という解釈も見かけました)

「どうしたら輝けるの?」についてはちょっと悩んでいて、勝手な妄想になるのですが(笑)、相手の男の子が主人公の浴衣姿を少し期待していたのかな、と思いました。

彼の微かながっかり感とか、周りの浴衣の子たちのキラキラ感を受けて、私服の自分が地味で輝いていないように思えてしまったのかな、と。

だから彼が自分の意図に「気づいてくれなきゃ」こんな格好で着た意味がなくて「いや、いや…」なのではないでしょうか。

(……完全に妄想です。もっと良い解釈があれば教えてください。笑)

 

また、少し遡るのですが、個人的には

ああ 恋が漂うロータリー

ひとり ひとり バイバイ

という部分もすごく好きで。

駅のロータリーで、他のカップルたちは二人でタクシーや電車に乗ってさらに出かけていくのに、私はここで別れて帰るのか……っていう寂しさが伝わってきて切なくないですか?

めっちゃ切なくないですか???

(これも完全に妄想ですが。笑)

この部分を聴くと、どうしてもそういう場面が浮かんできちゃうんですよね。

 

こんな感じで、主人公の心の中は熱い気持ちでいっぱいなわけですが、結局最後は

なんでもないよ さようなら

で終わるところもすごく切ないですね。

自分で勝手に盛り上がっていただけだし……というあきらめも感じられます。

全部まとめると、一人で妄想して期待して、ってしてただけの曲だと言えるのですが、風景や感情の描写がリアルで胸がきゅーっとなるんですよね。

つばきファクトリーハロプロの中でもわりと清楚で可愛らしいイメージのあるグループですが、そんな彼女たちがこういう曲を歌うことで、逆にリアル感が増す気がしました。

私は主人公と相手の男の子はもう付き合っていて、初めて夜に会う、というシチュエーションなのかなと思っているのですが、「まだ付き合っていない」「浮気の曲なのでは」という解釈をされている方もいて、色々な考え方ができるのも面白いところだと感じます。

 

今回のトリプルA面の3曲はそれぞれ別の方が作詞されているので、特に繋がりはないと思いますが、時系列で並べてみるとすれば

「純情cm」(片想い)→「デートの日は二度くらいシャワーして出かけたい」(付き合いたて)→「今夜だけ浮かれたかった」(夜デート)

という感じでしょうか。

そう考えると、「デートの日は~」でコンビニに入ったあとの髪の匂いまで気にしていて、メイクや髪が崩れただけで帰りたくなっていた女の子が、「今夜だけ~」で帰りたくない! ってなっているのが面白いですね。

3曲とも、夏ならではの感情がたくさん詰まっていて、まさにこの時期にぴったりのシングルだと思います。

 

 

つばきファクトリーデートの日は二度くらいシャワーして出かけたい